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戦車兵と戦争ーー司馬遼太郎の「軍神」観(ブログ)

戦車兵と戦争ーー司馬遼太郎の「軍神」観(ブログ)

昨日(7月13日)にNHKの19時のニュースで「町おこし」の一環として、人気アニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台になった大洗町で訓練支援艦の艦内見学や最新型の10式戦車の展示が行われたことが、戦車の映像とともに流されていました。しかも、その後の報道ではこの企画が観光庁の実施した「第一回『今しかできない旅がある』若者旅行を応援する取組」として奨励賞を受賞したことも判明しました。

自民党が今回の選挙公約として「国防軍」の設置を挙げているばかりでなく、4月にもネット世代に向けたイベントで安倍首相が戦闘用の迷彩服を着て戦車に乗り込み、右手を挙げている写真が載っている写真が公開されていことを想起するならば、特定の政党の政策を後押しするような報道や報償が選挙違反にはならないのかと気になります。

私がこの問題を重視するのは、司馬遼太郎氏が『竜馬がゆく』を執筆中の一九六四年に「軍神・西住戦車長」というエッセーで「明治このかた、大戦がおこるたびに、軍部は軍神をつくって、その像を陣頭にかかげ、国民の戦意をあおるのが例になった」と批判し、島田謹二氏の『ロシヤにおける広瀬武夫』からは「この個性的な明治の軍人がすぐれた文化人の一面をもっていたことを知ったが、昭和の軍神はそうではなかった。学校と父親がつくった鋳型(いがた)から一歩もはみ出ていなかった」と続けていたからです(『歴史と小説』、集英社文庫)。

一昨日のブログでは司馬氏が『坂の上の雲』において、「新聞は満州における戦勝を野放図に報道しつづけて国民を煽(あお)っているうちに、煽られた国民から逆に煽られるはめになり、日本が無敵であるという悲惨な錯覚をいだくようになった」と新聞報道のあり方を厳しく批判していたことを紹介しましたが、この長編小説では広瀬武夫が重要な人物の一人として描かれていたことを思い起こすならば、「軍神」批判の記述の意味はきわめて重たいと思われます。

「改憲」が争点となっている時期だけに、「報道」には公正さが求められるでしょう。

 

 

 

 

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