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『若き日の詩人たちの肖像』の考察から『堀田善衞とドストエフスキー』へ

『若き日の詩人たちの肖像』の考察から『堀田善衞とドストエフスキー』へ

新著『堀田善衞とドストエフスキー 大審問官の現代性』では、まず、小林秀雄と堀辰雄の考察を比較しながら、芥川龍之介の自殺をめぐる問題を考察した。その後、帝政ロシアに近いような「祭政一致」政策が行われるようになった昭和初期の重苦しい時代を描いた『若き日の詩人たちの肖像』などの作品 を分析した。 ここではスレッドなどをとおして 『若き日の詩人たちの肖像』の内容を簡単に見ておきたい。


『ロシアの近代化と若きドストエフスキー』から『「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機』 と『堀田善衞とドストエフスキー』へ

江戸時代の平田篤胤の復古神道から、昭和初期の「祭政一致」政策へ

このスレッドは続くが、『堀田善衞とドストエフスキー』では原爆投下に関わったパイロットの苦悩を描いた『零から数えて』や『審判』とドストエフスキー作品との関わりを分析し、 『ゴヤ』や『路上の人』における「大審問官」の問題が現代にもつながっていることを指摘した。
 『路上の人』では堀田がドストエフスキー作品を踏まえて『ヨハネの黙示録』の問題を深く考察しており、本書では指摘しなかったが、ことにユダヤ人の虐殺も行われた第1回十字軍が分析されている『至福千年』からは、危機的時代には宗教や国家さえもカルト的な性質を帯びることが分かる。

『堀田善衞とドストエフスキー』では原爆投下に関わったパイロットの苦悩を描いた『零から数えて』や『審判』とドストエフスキー作品との関わりを分析し、 『ゴヤ』や『路上の人』における「大審問官」の問題が現代にもつながっていることを指摘した。
 『路上の人』では堀田がドストエフスキー作品を踏まえて『ヨハネの黙示録』の問題を深く考察しており、本書では指摘しなかったが、ことにユダヤ人の虐殺も行われた第1回十字軍が分析されている『至福千年』からは、危機的時代には宗教や国家さえもカルト的な性質を帯びることが分かる。

ヨーロッパの東端から アジアの東端から 混迷をきわめる時代と向き合った二人の作家。 共鳴するその思索の核心を明らかにしていく比較文学の試み。」

なんとかドストエフスキーの生誕200年に間に合いほっとしたが、その翌年にウクライナ侵攻が起き、続いてプーチン首相を賛美していた安倍元首相の殺害が起きた。改めて『悪霊』の受容の問題もとおして、堀田善衞がこだわっていた『黙示録』や「八紘一宇」の理念とのかかわりなどをきちんと考察したいと思う。

(2022/1/13、2023/12/04、改訂して改題、2024/03/01、 03/22、 ツイートを追加 )

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