7月20日(土)に世界文学会 第4回連続研究会 :『歴史と世界文学』が下記の要領で行われます。
開催日時:2019年7月20日(土) 15:00~ 17:45
開催場所:中央大学駿河台記念館 (千代田区神田駿河台3-11-5 TEL 03-3292-3111)
発表者と発表要旨を「世界文学会」のホームページより転載します。
懇親会や地図など詳しくはホームページをご参照下さい。
→ http://sekaibungaku.org/blog/2019no3youshi
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1) 荒木 詳二「歴史小説論」
戦後74年経った今でも教科書問題や靖国問題や従軍慰安婦などの歴史問題が毎年マスコミを賑わせている。一方では現代大衆社会の歴史意識に形成に大きな影響を与えてきたのが歴史小説である。今回の発表では、日欧比較文化の観点から歴史小説の成立と発展、および歴史小説の特徴、さらに歴史と文学の関係について若干の考察を加えてみたい。ヨーロッパではナポレオン戦争後の1814年のウォルター・スコットによる最初の歴史小説「ウェイヴァリ」が書かれ、人気のジャンルとなったが、日本ではその約100年後の1913年に森鴎外によって最初の歴史小説「興津弥五右衛門の遺書」が書かれた。こうした歴史小説成立の背景には、民衆が初めて歴史に登場したナポレオン戦争や大逆事件など民衆の不安と混乱があった。歴史記述には歴史的事実と想像力が欠かせないが、歴史小説は虚構を手段として歴史的リアリティーを描き出すのである。
『美術シンボル事典』、ヒルデガルト・クレッチマー、荒木詳二 (共訳)、大修館書店、2013年。
2) 霜田 洋祐 「アレッサンドロ・マンゾーニ『婚約者』における歴史とフィクションの接続について」
イタリア近代文学を代表する文豪アレッサンドロ・マンゾーニ (1785-1873) は、「歴史の世紀」と言われる19世紀を生きた作家の中でも特に歴史にこだわった作家であった。スペインの統治下にあった17世紀のロンバルディア地方に暮らす人々の現実を描いた歴史小説『婚約者』(初版1825-27年、決定版1840-42年)は、イタリアが分裂状態にあり、外国の勢力下にある地域も多かった時代にあって、愛国的な文脈で読まれうる作品であり、実際そのような受容もされたのだが、統一運動を鼓舞するため、あるいは他の物語上の要請のために、歴史的事実が意図的に歪められるようなことはなかった。むしろマンゾーニは過去の現実を正確に描くことに心を配り、史実は史実として読者に伝えることを望んだ。本発表では、このような歴史的現実の忠実な再現を目指す作品において、フィクションと歴史とがどのように接続しているかを考えてみたい。
『歴史小説のレトリック : マンゾーニの<語り>』、霜田洋祐、京都大学学術出版会、2018年。
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世界文学会では、統一テーマのもと、12月から翌年の7月にかけて連続研究会を4回行っています。ご関心のある方は、会員外の方でもどうぞご自由にご参加ください。会員外の方には資料代として500円を承ります。
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