「東京新聞」は、8日の朝刊一面に「ニュージーランドではヒロシマ、ナガサキに原爆が投下された時期を平和週間にして、学校などで原爆の悲惨さを学ぶ時期になっています」との平和団体代表ケイト・デュースさんの寄稿を掲載している。
平和週間があるニュージーランドと比較するとき、ひるがえって日本ではどうだろうか。私が高校生の時におきたベトナム戦争以降、戦争を真剣に考える機会は確実に減り続けているように思える。
このような中で発せられた今日の「長崎平和宣言」は、「核兵器禁止条約」の意義を冒頭で語り、「被爆者が声をからして訴え続けてきた『長崎を最後の被爆地に』という言葉が、人類共通の願いであり、意志であることを示します」と結ばれている。この宣言は地域から発せられたものでありながら、世界的な視野を持っており説得力があると感じた。
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→1899年のハーグ万国平和会議から2017年の核兵器禁止条約へ
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一方、広島の「平和式典」で安倍首相は、「唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けた歩みを着実に前に進める努力を絶え間なく積み重ねていくこと。それが今を生きる私たちの責任です」と語り、「国際社会を主導していく決意です」との決意を述べていた(「産経新聞」)。
しかし、安倍首相が日本会議国会議員懇談会の特別顧問であることはよく知られているが、日本会議広島「日本の誇りセミナー」実行委員会は、この式典と同じ日にヘイト的な発言で知られる放送作家の百田尚樹氏を講演者として招いて「第9回 8.6 広島平和ミーティング」を開催していた。
→72回目の「広島原爆の日」と「第9回 8・6 広島平和ミーティング」
産経新聞社の雑誌『正論』(2004年)の「『坂の上の雲』をめざして再び歩き出そう」という対談で、日露戦争を賛美した「日本会議」代表委員の石原慎太郎氏は、「いっそ北朝鮮からテポドンミサイルが飛来して日本列島のどこかに落ちればいい。そうすれば日本人は否応もなく覚醒するでしょう」と北朝鮮に対して戦争を挑発するような発言をしていた。
安倍首相との共著『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』』(ワック株式会社、2013年)がある百田尚樹氏も「世界激変、問われる日本の覚悟! ~国際秩序の崩壊、露わになった『平和の危機』への提言」と題されたこの講演で、「『平和』と唱えていれば平和になるという夢想から脱却しよう」と訴えていたのである。
さらに、百田氏はこの講演で、広島の「平和式典」を誹謗するかのように、「原爆慰霊碑に記された『過ちは繰返しませぬから』という言葉に違和感を覚えるかどうかが、自虐史観から脱却できているかのリトマス試験紙だ」と声高に主張していた(「産経新聞」デジタル版)。
前回の記事では日本会議広島「日本の誇りセミナー」実行委員会が主催する「8.6 広島平和ミーティング」の常連の講演者だった田母神俊雄・元航空幕僚長や、「もんじゅ」の推進者・櫻井よしこ氏には放射能の危険性に対する知識がまったく欠けていることを示したが、それは百田氏にも通じるように思われる。
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