夏目漱石生誕150年によせて「夏目漱石と世界文学」をテーマとした2017年度第4回研究会の案内が「世界文学会」のホームページに掲載されましたので、発表者の紹介も加えた形で転載します。
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日時:2017年7月22日(土)午後3時~5時45分
場所:中央大学駿河台記念会館 (千代田区神田駿河台3-11-5 TEL 03-3292-3111)
発表者:大木昭男氏(桜美林大学名誉教授)
題目:「ロシア文学と漱石」
発表者:高橋誠一郎(元東海大学教授)
題目:「夏目漱石と正岡子規の交友と作品の深まり」
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発表者紹介:大木昭男氏
1943年生まれ。早稲田大学大学院(露文学専攻)修了。世界文学会、日本比較文学会、国際啄木学会会員。1969年~2013年、桜美林大学にロシア語・ロシア文学担当教員として在職し、現在は桜美林大学名誉教授。主要著作:『現代ロシアの文学と社会』(中央大学出版部)、『漱石と「露西亜の小説」』(東洋書店)、『ロシア最後の農村派詩人─ワレンチン・ラスプーチンの文学』(群像社)他。
発表者紹介:高橋誠一郎
1949年生まれ。東海大学大学院文学研究科(文明研究専攻)修士課程修了。東海大学教授を経て、現在は桜美林大学非常勤講師。世界文学会、日本比較文学会、日本ロシア文学会などの会員。主要著作『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館)、『黒澤明と小林秀雄――「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー ――「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(成文社)他。
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発表要旨「ロシア文学と漱石」
漱石は二年間の英国留学中(1900年10月~1902年12月)に西洋の書物を沢山購入して、幅広く文学研究に従事しておりました。本来は英文学者なので、蔵書目録を見ると英米文学の書物が大半ですが、ロシア文学(英訳本のほか、若干の独訳本と仏訳本)もかなり含まれております。ここでは、大正五年(1916年)の漱石の日記断片に記されている謎めいた言葉─「○Life 露西亜の小説を読んで自分と同じ事が書いてあるのに驚く。さうして只クリチカルの瞬間にうまく逃れたと逃れないとの相違である、といふ筋」という文言にある「露西亜の小説」とは一体何であったのかに焦点を当てて、漱石晩年の未完の大作『明暗』とトルストイの長編『アンナ・カレーニナ』とを比較考量してみたいと思います。
発表要旨「夏目漱石と正岡子規の交友と作品の深まり」
子規の短編「飯待つ間」と漱石の『吾輩は猫である』との比較を中心に、二人の交友と作品の深まりを次の順序で考察する。 1,子規の退寮事件と「不敬事件」 2,『三四郎』に記された憲法の発布と森文部大臣暗殺 3,子規の新聞『日本』入社と夏目漱石 4,子規の日清戦争従軍と反戦的新体詩 5,新聞『小日本』に掲載された北村透谷の追悼文と子規と島崎藤村の会見 6,ロンドンから漱石が知らせたトルストイ破門の記事と英国の新聞論 7、『吾輩は猫である』における苦沙弥先生の新体詩と日本版『イワンの馬鹿』 8、新聞『日本』への内田魯庵訳『復活』訳の連載 9、藤村が『破戒』で描いた学校行事での「教育勅語」朗読の場面 結語 「教育勅語」問題の現代性と子規と漱石の文学
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会場(中央大学駿河台記念会館)への案内図
JR中央・総武線/御茶ノ水駅下車、徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅下車、徒歩6分
東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅下車(B1出口)、徒歩3分
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