TPP(環太平洋パートナーシップ協定)では、やはり農業や牧畜などに限っただけでも大幅な譲歩を強いられていたことが明らかになったことを以前の記事で記しました。
その秘密交渉にあたっていた甘利明TPP担当大臣が、〈甘利大臣の嘘と「告発」の理由〉と題した『週刊文春』(2月4日号)の記事によって辞任に追い込まれるという事態になりました。
一方、一面でこのニュースを取り上げた今朝の「東京新聞」は、「良い人とだけ付き合っていたら選挙に落ちる」という甘利大臣の言葉を大見出しで報じるとともに、「政治とカネ断てぬ自民」という題で「前時代的とも思える古い自民党の体質」との関連を指摘する辛口の記事も掲載していました。
さらに2面でも「アベノミクスの要退場 首相問われる任命責任」、5面に〈「口利き」解明〉をという社説を載せた「東京新聞」が、3面、6面、30面、31面でも大きく取り上げていたのが目に付きました。
甘利明経済再生相の辞任は、権力の圧力に屈しなかった『週刊文春』のジャーナリスト魂の勝利であると思われますが、御用新聞と化したかのように甘利大臣を擁護していた読売新聞や産経新聞はどのような反応をするのでしょうか。
後任には「金目でしょ」のセリフで有名になった石原伸晃大臣が任命されたとのことですが、ここにも安倍首相の経済感覚が現れていると思われます。
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このような流れを読み取ったかのようなタイミングで〈「カネ・醜聞 甘利爆弾炸裂――「安倍カレンダー」総崩れの危機〉との記事を載せた『サンデー毎日』(2月7日号)は、「安倍官邸崩壊の始まり」という見出しで、「浜矩子ドアホノミクスを叱る!」というインタビュー記事を載せています。
マイナンバー制度導入や「軽減税率」だけでなく、自民党政治の問題点にも鋭く切り込んだ浜矩子・同志社大学教授へのインタビューは、説得力のあるものになっています。
このブログ記事では、「改憲」を明言した安倍首相の目指す方向性が「未来」ではなく、祖父の岸信介氏も入っていた東条英機内閣のような「国家神道」の復活を目指している可能性を指摘してきました。
現代の新聞記者にも明治時代の新聞記者・正岡子規のような気概をもって、「良い人とだけ付き合っていたら選挙に落ちる」という感覚でTPP秘密交渉を担当した甘利大臣の元でまとまったTPPや、安倍政権の危険な実態に鋭く切り込んでほしいと願っています。
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