2007年に上梓した拙著『ロシアの近代化と若きドストエフスキー』(成文社)が、思いがけず、昨年の夏以降に再び販売数を伸ばしているようです。
あまり読者数が多いとは思われないドストエフスキーの初期作品を論じたこの本が売れていることに驚いていますが、その理由の一端は〈序章 近代化の光と影――「祖国戦争」の勝利から「暗黒の三〇年」へ〉の末尾で記した次のような文章にあるのかもしれません。
〈この考察をとおして、「祖国戦争」からクリミア戦争にいたるロシアの「暗黒の三〇年」と呼ばれる時期が、日露戦争から「大東亜戦争」にいたる時期と極めて似ていることを明らかにできるだろう。すなわち、ドストエフスキーの変化をきちんと分析することは、「明治憲法」を勝ち取った日本の知識人が、なぜ「憲法」を持たなかったロシアの知識人と同じように破局的な戦争へと突き進むことを阻めなかったのかを考察するためにも必要な作業なのである。〉
それゆえ、「著書・共著」のページに掲載していた『ロシアの近代化と若きドストエフスキー』の「はじめに」の文章の一部を〈「暗黒の三〇年」と若きドストエフスキー〉と題して、「あとがき」の一部を〈「新しい戦争」の時代と「憲法」改悪の危険性〉と題して、「主な研究」に掲載します。
リンク→「暗黒の三〇年」と若きドストエフスキー(「はじめに」より)
リンク→「新しい戦争」の時代と「憲法」改悪の危険性(「あとがき」より)
リンク→『ロシアの近代化と若きドストエフスキー ――「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(目次)
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