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参院特別委員会採決のビデオ判定を(2)――「民主主義」の重大なルール違反

参院特別委員会採決のビデオ判定を(2)――「民主主義」の重大なルール違反

採決

図版は〔NHK NEWS WEB〕より

 

昨日のブログ記事では下記のような理由から、参院特別委員会採決は無効である可能性が強いと記しました。

〔不信任案が否決された直後に与党の議員が委員長席に駆け寄り、それに続いて野党議員が駆け寄り、もみ合う映像が何度も流されましたが、「締め括り審議」はどこに消えたのでしょうか。

すでに大相撲では映像によるビデオ判定が採用されています。鴻池委員長の発言は聞こえず、議事録には「精査不能」と記されているとのことですが、そのような場合には大相撲では「取り直し」となります。まして、「国民の生命」に関わる重要な法案ならば、「精査不能」の「締め括り審議」は、きちんと「やり直し」とされるべきと思われます。〕

*   *   *

印象的だったのは、参議院での「みっともない」光景に対して、何が起きたのかがわからないこのような状況下でNHKのアナウンサーが、「可決されたもようです」と何度も繰り返し*1、安倍首相がいち早く委員会の会場から去って行ったことです*2

その時はなぜ去って行くのかが分からなかったのですが、おそらく、このような委員会の流れを知っていたか、あるいは指示していたからでしょう。

その後、野党5党からは特別委の採決は無効だという申し入れを山崎正昭参院議長にしたが聞き入れられず、NHKの夜のニュース解説などでは、あの混乱の中で5回もの「採決」が行われたことになったとの説明がなされました。

しかし、「締め括り審議」などを飛ばして、委員長席を取り囲んだごく少数の自民・公明党議員のみが確認しただけの採決は、一般市民の感覚からはとうてい無効としか思えません(冒頭の図版参照)。NHKの籾井会長の意向でそのような解説をするようにとの業務命令があったかどうかは、今後、法廷などで検証されるべきでしょう

さらに、「毎日新聞」のデジタル版によれば、次のことも明らかになっています。「参院のウェブサイトで公開されている審議の録画には、鴻池氏が着席してからの約1分10秒間、「速記を中止しているので音声は放送していません」というテロップが出る。鴻池氏の入場直前に、委員長の代理を務めていた自民党の佐藤正久議員が速記の中止を命じているからだ。記録を取っていない間に採決が行われた可能性も否定できない。」

安倍晋三氏は首相の座にしばらくは留まるかも知れませんが、昨日の参議院で民主主義に対する重大なルール違反を犯し、そのことが問われていずれそう遠くない時期に失脚すると思われますので、今後、このブログでは首相の肩書きは外して記します。

*1 「毎日新聞」のデジタル版によれば、正確には次のような表現だったようです。「生中継するNHKすら『何らかの採決が行われたものとみられます』などと実況し、散会するまで『可決』を伝えられなかった」。

*2 同じく「毎日新聞」のデジタル版は、「採決前の慣例の首相らが出席する締めくくり質疑も省略された。理由を問うと鴻池氏の表情が険しくなった。『察してくれよ。本当はやりたかったですよ。野党の皆さんだって質問したかったでしょう。そういう事態だったということです』」と記しています。

(2015年9月18日。「毎日新聞」のデジタル版により、注などを追加)

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