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参院特別委員会採決のビデオ判定を(1)―NHKの委員会中継を見て

参院特別委員会採決のビデオ判定を(1)―NHKの委員会中継を見て

久しぶりにHNKが国会の中継を行っているのに気づいて、途中からでしたが、鴻池委員長にたいする不信任の理由を述べた野党議員による問題点の指摘に聞き入っていました。

これまでの歴史を踏まえた社民党の福島瑞穂議員の説得力のある発言に続いて、自衛隊の海外派兵の問題点に鋭く迫り、やはり十分な審議の必要性を明らかにした山本太郎議員が発言の短縮を求められて素直に中断したあとで、採決が求められ鴻池委員長の不信任案が否決されました。

その後の流れが映像を何度見ても分かりません。ニュースの解説によれば、その後には「締め括り審議」が予定されており、それに備えるために安倍首相や中谷防衛大臣、岸田外務大臣などが着席していたのです。野党議員の渾身の質問にたいして、首相や大臣がどのように答弁するのか固唾を呑んで私は見守っていました。

しかし、不信任案が否決された直後に与党の議員が委員長席に駆け寄り、それに続いて野党議員が駆け寄り、もみ合う映像が何度も流されましたが、「締め括り審議」はどこに消えたのでしょうか。

すでに大相撲では映像によるビデオ判定が採用されています。鴻池委員長の発言は聞こえず、議事録には「精査不能」と記されているとのことですが、そのような場合には大相撲では「取り直し」となります。まして、「国民の生命」に関わる重要な法案ならば、「精査不能」の「締め括り審議」は、きちんと「やり直し」とされるべきと思われます。

まだ、参議院本会議での議論が残っており、法案の帰趨は分かりませんが、このような方法で採決した参議院の自民・公明両党は、「良識の府」の歴史に大きな汚点を残したといわねばならず、日本は「明治憲法」が発布される以前の薩長藩閥政府が権力を専横していた時代へと逆戻りする危険性さえあると思えます。

*   *   *

しかし、そのような危険性にもかかわらず、多くのひとびとが「民主主義」と「憲法」について再び、深く真剣に考え始めている現在、私はこれまでに味わったことのないような可能性も感じています。

そのことの理由についてはいずれ詳しく記したいと思いますが、ここでは参院・中央公聴会でのシールズ(自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基さんの発言の一部を紹介することでその説明に代えることにします。

「どうか、政治家の先生たちも個人でいてください。政治家である前にたった一人の個人であって下さい。自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して孤独に思考し、判断し、行動して下さい」、「困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します」。

リンク→李下に冠を正さず――ワイドショーとコメンテーター

リンク→「国会」と「憲法」、そして「国民」の冒涜――「民主主義のルール」と安倍首相

(2015年9月18日。題名の一部を変更、リンク先を追加)

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