このブログでは衆議院選挙を前にした昨年の12月に書いた一連の記事で、「景気回復、この道しかない」としてアベノミクスを前面に出した安倍政権と戦前・戦時中の軍事政権の手法の類似性を示すことで、「言葉」や「約束」を大切にしない「安倍政権」の危険性を指摘してきました。
内閣の支持率などを見ると今もこの手法やスローガンに騙されている「国民」は少なくないようですが、今日の「東京新聞」朝刊は「首相『支持受けた』というが… 安保法案は公約271番目」という見出しの記事で、安倍首相の「嘘」を明確に指摘しています。
「事実」を書くという新聞の基本的な役割を果たした重要な記事だと思いますので、以下にその全文を引用しておきます(太字は引用者)。
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安全保障関連法案をめぐり、安倍晋三首相が「法整備を選挙で明確に公約として掲げ、国民から支持を頂いた」と繰り返している。法案内容に国民の反対が根強いことへの反論の一環だ。しかし、昨年衆院選の自民党公約では、安保法案の説明はごくわずかしかない。解散時は経済政策を前面に押し出し、安保法案は公約の全二百九十六項目の中で、二百七十一番目の一項目にすぎない。 (皆川剛)
参院の審議が始まってからも、野党は各種の世論調査を挙げ「ほとんどの国民が法案内容の説明が十分でないと答えている。国民の過半数が法案に憲法違反の疑いがあると認識している」(維新の小野次郎氏)などと批判を続けている。
これに対し、首相は「さきの衆院選では昨年七月の閣議決定に基づき、法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民から支持を頂いた」と、安保法案は選挙で公約済みと強調する。
しかし昨年の自民党公約では、安保法制への言及は二百七十一番目だっただけでなく、「集団的自衛権の行使容認」は見出しにも、具体的な文言にもない。歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使を認めるという、国のあり方を根本から変える政策なのに目立たない位置付けだった。
二〇一二年衆院選の公約に入っていた「集団的自衛権の行使を可能とする」という文言は一三年の参院選から消え、「法整備を進める」という表現になった。
昨年十一月の衆院解散直後の会見では、安倍首相は「アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります」と明言し、自主的な発言は経済政策と地方創生に終始。記者から「集団的自衛権行使容認の閣議決定は争点に位置づけるか」と問われて初めて、「そうしたすべてにおいて国民に訴えていきたい」とだけ答えた。
共同通信社の八月中旬の調査では、安保法案が「憲法に違反していると思う」は55・1%に上り、「違反していると思わない」の30・4%を大きく上回る。法案の今国会成立にも62・4%が反対している。
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今日の「東京新聞」朝刊には「SEALDs呼び掛け 全国60カ所でデモ」という見出しで、日本の各地で行われた「全国若者一斉行動」の模様がカラー写真と共に詳しく掲載されていました。
「日本新聞博物館」の常設展には、治安維持法の成立から戦時統制下を経て敗戦に至る時期の新聞の状況が示されたコーナーもありますが、現代の日本でも権力者にすりよるために「御用新聞」と化して「事実」を伝えようとしない新聞もあるなかで、「平和の俳句」を掲げる「東京新聞」は、「孤高の新聞」と呼ばれた新聞『日本』の陸羯南や正岡子規などの思いを受け継いでいると感じます。
これまでもがんばりを見せてきた地方紙に続いて、「毎日新聞」や「朝日新聞」などの大新聞にも「事実」を見つめた気骨のある記事が連日掲載されることを期待しています。
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