(長崎市に投下されたプルトニウム型原爆「ファットマン」によるキノコ雲。画像は「ウィキペディア」)。
長崎も9日、米軍が原爆を投下してから70年を迎えました。ここでは「東京新聞」の記事によりながら、長崎市の平和公園で行われた平和祈念式典で語られた市長や被爆者の言葉をまず確認します。
その後で、原爆投下を命令したトルーマン大統領の孫ダニエル氏の場合と比較することにより岸信介首相の孫である安倍首相の公約の意味を考察することにします(太字は引用者)。
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田上富久市長は平和宣言で安全保障関連法案について「70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」と指摘しました。
注目したいのは、安倍晋三首相が今年から来年にかけて長崎や広島で主要7カ国(G7)外相会議など国際会議を開くことに触れて、「被爆地から我々の思いを国際社会に力強く発信」していくと述べつつも、被爆地の市長が求めた「安全保障関連法案」の「慎重で真摯(しんし)な審議」にはまったく触れなかったことです。
被爆者代表の谷口稜曄さん(86)は平和への誓いで「今政府が進めようとしている戦争につながる安保法案は、被爆者をはじめ平和を願う多くの人が積み上げてきた核兵器廃絶の運動、思いを根底から覆すもので、許すことはできない」と安倍首相と与党を厳しく批判していました。
実際、核兵器の使用も公言しているばかりでなく、「イラク戦争」に際しては多量の「劣化ウラン弾」を使用していたアメリカ軍の「後方支援」に当たることを可能とするこの法案を強引に成立させることは、「国際社会の核軍縮の取り組みを主導していく」という首相自身の言葉を裏切ることになるでしょう。
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この意味で注目したいのは、「核兵器は残虐で人道に反する兵器です」と語った被爆者代表の谷口氏が、「廃絶すべきだということが、世界の圧倒的な声になっています」と続けていたことです。
実際、8月6日放送された「報道ステーション」によれば、トルーマン大統領の孫で幼い頃から「原爆は正義」と教わってきたダニエル氏も、原爆で白血病になり12歳でなくなった佐々木禎子さんの物語『禎子と千羽鶴』を読んだことから、トルーマン大統領の孫としてできることはこの悲惨な状況を多くのアメリカ人に伝えることだと気づいたのです(トルーマンの孫としていま-」、テレビ朝日「報道ステーション」)。
アメリカだけではなく、過去最多の75カ国から大使らが出席したこの「平和式典」で、岸信介首相の孫である安倍首相が「『核兵器のない世界』の実現に向けて、国際社会の核軍縮の取り組みを主導していく」と約束したことは非常に意義深いことです。
世界への「公約」を誠実に実行するためには、「核武装」を公言している武藤貴也議員を処分するとともに、「安全保障関連法案」の問題点の「慎重で真摯な審議」をすることが不可欠と思われます。
リンク→原子雲を見た英国軍人の「良心の苦悩」と岸信介首相の核兵器観――「長崎原爆の日」に(1)
リンク→「安全保障関連法案」の危険性(2)――岸・安倍政権の「核政策」
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