今回の総選挙は、一昨年の参議院選挙と同じように、国会での十分な審議もなく「特定秘密保護法」や「集団的自衛権」を閣議決定する一方で、原発の危険な状況は隠して、急遽、行われることになりました。
『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワック株式会社、2013年)で、「憎悪表現」とも思われる発言を繰り返す「お友達」の百田尚樹氏を優遇して戦前の道徳観を復活させようとしている安倍政権に強い危機感を覚えました。
私自身の非力さは認識しつつも、辻説法を行う法師のように『永遠の0(ゼロ)』を批判し、選挙の権利を行使するように訴える記事をブログに書いていました。
ことに終盤にはメディアから自民党だけで300議席を超えるなどの予想が出されたために、批判の調子を強めて書きました。
選挙の結果はマスコミが予想した数と近いものになりましたが、それでも「極端な排外主義」を掲げる「次世代の党」が激減しただけでなく、九条改憲を促進する勢力や「原発推進」を掲げる議員が減ったことで、今後の可能性が残されたと思えます。
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今回の選挙で指摘された点の一つは若者の選挙離れでしたが、司馬氏は『竜馬がゆく』で最初は他の郷士と同じように「尊皇攘夷」というイデオロギーを唱えて外国人へのテロをも考えた土佐の郷士・坂本龍馬が、勝海舟との出会いで国際的な広い視野と、アメリカの南北戦争では近代兵器の発達によって莫大な人的被害を出していたなどの知識を得て、武力で幕府を打倒する可能性だけでなく、選挙による政権の交代の可能性も模索するような思想家へと成長していくことを壮大な構想で描いていたのです。
一方、来年度のNHKの大河ドラマ『花燃ゆ』では、安倍首相の郷土の英雄・吉田松陰の末妹で松陰の弟子・久坂玄瑞の妻となる杉文が主役になるとのことです。
司馬遼太郎氏が『世に棲む日日』で描いたように、佐久間象山の弟子で深い知識と広い視野を有していた吉田松陰は、アメリカとの秘密裏の交渉を行い、批判されると言論の弾圧を行った大老・井伊直弼によって安政の大獄で処刑されました。
「尊皇攘夷」の嵐が吹き荒れたこの時期の日本を描くには、たいへんな注意深さが必要と思われますが、安倍政権の影響力が強く指摘されているNHKで果たして、そのようなことが可能でしょうか。
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幕末の日本を長州からだけでなく、薩摩や土佐、さらに愛媛や、江戸、会津など広い視点から描いた司馬氏の作品と比較しながら、来年はNHKの大河ドラマ『花燃ゆ』を注意深く観察することで、選挙の重要性を幕末に唱えた龍馬を描いた『竜馬がゆく』の先見性を確認したいと思います。
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