「集団的自衛権」を閣議決定した安倍首相は、百田氏との共著『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワック株式会社、2013年)に収められた対談で、映画《永遠の0(ゼロ)》について次のように語っていました。
百田氏:映画が公開されて大ヒットしたら、どうせまた中国や韓国が『右翼映画』だとかなんとか言ってイチャモンつけてくると思います。
安倍首相:本をきちんと読めば、そのような印象を受けることはないと思いますね。
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しかし、映画《永遠の0(ゼロ)》について「ウィキペディア」で調べたところ、中国や韓国だけでなくアメリカからも厳しい批判が出ていたことが分かりました。
〈アメリカ海軍の関連団体アメリカ海軍協会(英語版)は、2014年4月14日付の記事「Through Japanese Eyes: World War II in Japanese Cinema(日本人の目に映る『映画の中の第二次世界大戦』)」の中で本作の好評を危険視し、最近の日本の戦争映画について「戦争の起因を説明せず、日本を侵略者ではなく被害者として描写する」「修正主義であり、戦争犯罪によって処刑される日本のリーダーを、キリストのような殉教者だと主張している」と批判した。〉
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百田氏の原作に基づくこの映画がこのように厳しい糾弾を受けるようになることは、「9.11同時多発テロ」に対するブッシュ政権の反応を考えれば、たやすく予想できたはずなのです。
これについても、拙著よりその箇所を引用しておきます。
「同時多発テロ」が発生した時も、アメリカの幾つかの報道機関では「自爆テロ」の問題を、日本軍による真珠湾の奇襲攻撃や「神風特攻隊」と重ねて論じ、日米開戦日前日の一二月六日にはラムズフェルド国防長官が「明日は二〇〇〇人以上の米国人が殺された急襲記念日だ」と発言し、「対テロ戦を行う上で、あの教訓を思い出すのは正しい」と強調した。
このような政府首脳の発言もあり、新聞も「タリバーンは旧日本軍と同じ狂信集団。核兵器の使用を我慢しなければならない理由は何もない」などという論評を相次いで載せ、「世論調査会社が調べると、五四パーセントが『対テロ戦争に核兵器は有効』と答えた」のである*26。
リンク→『この国のあした――司馬遼太郎の戦争観』(のべる出版企画、2002年)
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繰り返すことになりますが、安倍政権は「特定秘密保護法」や「集団的自衛権」の危険性を隠したままで選挙に踏み切りました。
近隣諸国だけでなくアメリカとの関係も悪化させる可能性が高い危険な書物『永遠の0(ゼロ)』を絶賛している安倍首相が率いる政権には選挙でNOと言わねばなりません。
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