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「欲しがりません勝つまでは」と「景気回復、この道しかない。」

「欲しがりません勝つまでは」と「景気回復、この道しかない。」

総選挙が公示され、 一斉に各党のポスターが張り出されました。

「景気回復、この道しかない。」

という文字と安倍首相の横顔が印刷された自民党のポスターは、

「アベノミクス」を前面に出すことで、分かりやすくもありインパクトがありました。

しかし、至る所に掲示されるようになったこのポスターを見ているうちに、

「国民」の目を戦争の実態から逸らし、

今の困窮生活が一時的であるかのような幻想を振りまいた、

「欲しがりません勝つまでは」という

戦時中のスローガンと似ていることに気づきました。

このことに注目するならば、

今回の総選挙で本当の「争点」とすべきは、

「戦前の日本を取り戻そう」としている安倍政権を選ぶか否かだと思われます。

安倍政権が目先の利権を全面に出したにもかかわらず、沖縄知事選では翁長知事が当選しました。

私たち、いわゆる「本土の人間」も、目先の利益を前面に出した安倍政権の「スローガン」に惑わされずに、

自分たちの国の大地や河川、子孫たちの「生命」を守る選択をして、「日本人」の誇りを示したいものです。

*   *   *

ついでながら、「与党」として安倍政権の進める政策を実質的に支援している「公明党」にもロシア史の研究者の視点から一言。

かつての自民党には「現実」を重視しつつ、戦争の惨禍をも踏まえて「理想」を語る政治家も多くいました。

しかし、ブログ記事「宮崎監督の映画《風立ちぬ》と百田尚樹氏の『永遠の0(ゼロ)』(2)」で確認したように、現在の安倍政権は「歴史認識」の問題を最重要視する「イデオロギー政党」化していると思われます。

1917年10月のロシア革命では、人事と要職を握ったボリシェヴィキによってメンシェヴィキや農業に基盤を置いた社会革命党左派は徐々に排除されましたが、「昭和初期」の日本でも共産党や民主主義者だけでなく、当時の創価学会も排除の対象とされていました。

現在の安倍政権が選挙に勝って圧倒的な権力を獲得したあとでは、百田氏のように公然と「歴史的な事実」をねじ曲げてでも権力者に媚びようとする者が優遇され、それを批判する者は遠ざけられ排除されるようになると思われます。

なぜならば、権力がある人物に集中すると、その権力者に気に入られるためにより過激な発言をしたり、それを行動に移すようになる者が出てくるからです。

*   *   *

繰り返すことになりますが、「司馬史観」論争の頃からの流れを考慮するならば、「戦前の日本を取り戻そう」としている安倍政権を選ぶか否かに、総選挙の「争点」を転換しなければならないでしょう。

司馬氏が 『竜馬がゆく』で描いたように、「憂国」の念から脱藩した幕末の志士・坂本龍馬は、幕臣だった師の勝海舟などの理解も得て、それまで憎しみあっていた薩摩と長州の同盟を成立させることで、アメリカとの交渉を秘密裏に行おうとした大老・井伊直弼が権力を握る徳川幕府を打倒したばかりでなく、「憲法」の樹立に向けた方向性をも示していました。

リンク→『「竜馬」という日本人――司馬遼太郎が描いたこと』(人文書館、2009年)

私たちもそろそろ全野党だけでなく、「公明党」や安倍政権の危険性を認識している自民党員をも取り込んだ形で、「戦前の日本を取り戻そう」としている安倍政権に対抗できるような全国民的な同盟を結ぶという長期的な展望を持つべき時期にきていると思えます。

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