今朝の「東京新聞」朝刊は自民党の谷垣幹事長がインタビューで今回の総選挙が「アベノミクス」の信を問うものであることを強調するとともに、「原発は重要な電源」と位置づけていることを紹介しています。
この発言は、昨年の参議院議員選挙の前に、放射能汚染水の流出の「事実」を「東電社長は3日前に把握」していたにもかかわらず、そのことが発表されたのが選挙後であったことを思い起こさせます。
リンク→汚染水の流出と司馬氏の「報道」観(2013年7月28日 )
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安倍首相が日本の国民だけでなく、全世界に向けて発信した汚染水は「完全にブロックされている」という公約は、信頼できるのでしょうか。
「東京新聞」(2014年12月1日 )付の記事で「海洋汚染、収束せず 福島第一 本紙調査でセシウム検出」との見出しで、安倍政権が「隠蔽」を試みている原発事故の一端を大野孝志・山川剛史両氏の署名入りの記事で明らかにしていますので、その一部をここで引用しておきます。
〈東京電力福島第一原発至近の海で、本紙は放射能汚染の状況を調べ、専用港の出入り口などで海水に溶けた状態の放射性セシウムを検出した。事故発生当初よりは格段に低い濃度だが、外洋への汚染が続く状況がはっきりした。〉
〈東電は原子力規制委員会が定めた基準に沿って海水モニタリングをしているが、日々の公表資料は「検出せず」の記述が並ぶ。計測時間はわずか十七分ほどで、一ベクレル前後の汚染はほとんど見逃すような精度しかない。大型魚用の網で小魚を捕ろうとするようなものだ。
東電の担当者は「国のモニタリング基準に沿っている」と強調する。
原子力規制委事務局の担当者は「高濃度汚染がないか監視するのが目的。迅速性が求められ、精度が低いとは思わない」としている。
しかし、かつての高い汚染時なら、精度が低くても捕捉できたが、現在のレベルなら、やり方を変えないと信頼できるデータは出ない。汚染が分からないようにしているのではないかとの疑念を招きかねない。〉
獨協医科大学の木村真三准教授(放射線衛生学)の次のような言葉でこの記事は結ばれています。
「高性能な測定機器を使っても、短時間の測定では、国民や漁業関係者から信頼される結果を得られない。海の汚染は続いており、東電は事故の当事者として、汚染の実態を厳密に調べ、その事実を公表する義務がある」。
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すでに記しましたが、作家の司馬氏が若い頃には「俺も行くから 君も行け/ 狭い日本にゃ 住み飽いた」という「馬賊の唄」が流行り、「王道楽土の建設」との美しいスローガンによって多くの若者たちが満州に渡っていました。
「原子力の平和利用」という美しいスローガンのもとに、推進派の学者や政治家、高級官僚がお墨付きを出して「絶対に安全である」と原子力産業の育成につとめてきた戦後の日本でも、「大自然の力」を軽視していたために2011年にはチェルノブイリ原発事故にも匹敵する福島第一原子力発電所の大事故を産み出し、その事故は今も収束せずに続いています。
それにもかかわらず、「積極的平和政策」という不思議なスローガンを掲げて、軍備の増強を進める安倍総理大臣をはじめとする与党の政治家や高級官僚は、「国民の生命」や「日本の大地」を守るのではなく、今も解決されていない福島第一原子力発電所の危険性から国民の眼をそらし、大企業の利益を守るために原発の再稼働や原発の輸出などに躍起になっているように見えます。
岸信介という戦前の高級官僚を祖父に持つ安倍晋三氏は、戦前を「美化」した歴史認識を持ち、それを「命の大切さを伝えたい」(58ページ)と常に思っていると語っている『永遠の0(ゼロ)』の作者・百田尚樹氏との対談を収めた共著『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワック株式会社、2013年)などで広めようとしているように見えます。
しかし、「ウィキペディア」の記述によれば、戦前は「革新官僚」の筆頭格として陸軍からも関東軍からも嘱望された高級官僚の岸氏は「満州経営に辣腕」を振い、A級戦犯被疑者として3年半拘留されていたのです。
そして、安倍総理自身が指揮官による「判断と決断の誤りによって多くの人々が命を失う」(61頁)と語り、百田氏も「日本は先の大戦で三百万以上の方が亡くなった」(68頁)と認めているように、1931年の満州事変から始まった一連の戦争は日本やアジアに大きな被害をもたらし、膨大な数の戦死者を出すことになったのです。。
「原発事故」の悲惨さを「隠蔽」することで現在は明るく見える安倍氏の「経済政策」が、半年後や1年後にどのような結果を招くかを冷静に判断しなければならないでしょう。
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リンク先→
安倍政権と「報道」の問題
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