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ドストエフスキー作品の重み――《ドストエフスキーと愛に生きる》を観て

ドストエフスキー作品の重み――《ドストエフスキーと愛に生きる》を観て

 

先日、ウクライナ出身の翻訳者の日常と過去を描いたドキュメンタリー映画《ドストエフスキーと愛に生きる》を観てきました。

冒頭の夜汽車のシーンは印象的でしたが、それはスターリンの粛正によって父を失い、ナチスによるキエフ占領の際には友人のユダヤ人を虐殺された主人公の生きた暗い時代とその中で必死で生きた彼女の生き方を象徴するようなシーンだったからでしょう。

ドキュメンタリー映画なので手法は全く異なっていましたが、映像をとおして知識人の「責任」を鋭く問いかけていた黒澤監督の映画《夢》を見たあとのような重たい感銘が残りました。

ことに、長編小説『罪と罰』を『罪と贖罪』と訳したという説明からは、彼女が『罪と罰』における「良心」の用法を深く理解していると感じました。

この映画が今も上映中とのことを知った時には、現在のウクライナ情勢が影響しているのかとも考えましたが、見終わったあとでは、この映画の映像と言葉の力によるものだということが分かりました。

初めての試みとして、これから「映画・演劇評」のページに感想を記していきたいと思います。

5月2日以降も各地の映画館で上映されるようなので、映画や映画館の簡単な情報の後に、公式サイトも記しておきます。

追記:リンク先『罪と罰』と『罪と贖罪』――《ドストエフスキーと愛に生きる》を観て(1)」

*   *   *

『ドストエフスキーと愛に生きる』(2009年/スイス=ドイツ/93分/ドイツ語・ロシア語/カラー・モノクロ)

監督・脚本:ヴァディム・イェンドレイコ/出演: スヴェトラーナ・ガイヤー、アンナ・ゲッテ、ハンナ・ハーゲン、ユルゲン・クロット/製作:ミラ・フィルム

2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭 優秀賞、市民賞の2冠を受賞

一切の妥協を許さないスヴェトラーナ・ガイヤーの織り成す深く静かな翻訳の世界と、丁寧な手仕事が繰り返される彼女の静かな日常を追う。一人の女性が歩んだ数奇な半生に寄りそう静謐な映像が、文学の力によって高められる人の営みを描き出す。

 


 

上映中:作品分数:93分

開始時間、29日、13:15、30日、13:15、19:00、1日、13:15、19:00、2日、13:15

料金:一般¥1,600 / 学生¥1,300(平日学割¥1,100)

会場:渋谷のミニシアター「渋谷アップリンク」

追記:リンク「公式サイト」 

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