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「学問の自由」と「特定秘密保護法」――情報公開と国民の主権

「学問の自由」と「特定秘密保護法」――情報公開と国民の主権

 

11月25日の定例記者会見で川勝平太・静岡県知事は、「特定秘密保護法案」について「悪法だ」と述べるとともに、その理由を「国家権力は国民の生活や生命を守るために存在する。権力の源泉は情報。主権は国民にあり、情報を知らなくていいという態度は間違っている」と説明していました。

 その川勝平太・知事が12月12日の定例記者会見でも、きちんとした国民的な議論もないままに強行採決された「特定秘密保護法」について、「情報は誰のものなのかという議論がなく、成立は拙速。(内閣の)支持率が下がったのは健全な国民の判断だ」と改めて批判したことが朝日新聞のデジタル版で伝えられています。

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このような川勝知事の発言につながったのは、「テロ」の対策を目的とうたったこの法案は、諸外国の法律と比較すると国内の権力者や官僚が決定した「情報を隠蔽」する性質が強いことや、「国権」を強調することで「人権」を押さえつける性質の強いものであることが、成立後にいっそう明らかになってきたからでしょう。

たとえば、11月29日に自身のブログで、特定秘密保護法案に反対するために国会周辺で行われている市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と記していた自民党の石破茂幹事長は、12月11日の日本記者クラブでの記者会見では、会見後に発言を撤回したものの、特定秘密保護法によって指定される「特定秘密」を報道機関が報道し、安全保障に影響が生じた場合には、記者らが罰せられる可能性があるとの認識を示したのです。

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「東京新聞」5日の一面にはこの「法」に反対する決議や声明を出した団体の「一覧表」が掲載されていましたが、今日の「応答室だより」では、この一覧にもれていた団体や学会から指摘が続いたことが記されています。

川勝平太・静岡県知事は比較文明学会の理事でもありますが、「表現の自由」だけでなく「学問の自由」をも犯す危険性の強いこの「特定秘密保護法」に対する反対の声は、政治的な考えの違いを超えて様々な場からこれからも広めていく必要があるでしょう。

「国家」による「情報の隠蔽」の危険性については、作家の司馬遼太郎氏が何度も語っていましたので、別の機会に稿を改めて記すことにします。

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