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司馬作品から学んだことⅡ――新聞紙条例(讒謗律)と内務省

司馬作品から学んだことⅡ――新聞紙条例(讒謗律)と内務省

先ほど、各新聞が一斉にネット版で、「与党が採決を強行」し「特定秘密保護法」が衆議院を通過したとの号外を報じました。

安倍首相は「この法案は40時間以上の審議がなされている。他の法案と比べてはるかに慎重な熟議がなされている」と答弁したとのことですが、首相の「言語感覚」だけでなく、「時間感覚」にも首をかしげざるをえません。

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11月13日付けのブログ記事「特定秘密保護法案」と明治八年の「新聞紙条例」(讒謗律)では、「明治初年の太政官が、旧幕以上の厳格さで在野の口封じをしはじめたのは、明治八年『新聞紙条例』(讒謗律)を発布してからである」という『翔ぶが如く』の一節を引用しました。

また、「普仏戦争」で「大国」フランスに勝利してドイツ帝国を打ち立てたビスマルクと対談した大久保利通が、「プロシア風の政体をとり入れ、内務省を創設し、内務省のもつ行政警察力を中心として官の絶対的威権を確立」しようとしたことにも触れました(文春文庫、第1巻「征韓論」)。

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内務省が設置されたのは、『新聞紙条例』(讒謗律)の発布の2年前の1873年(明治6年)のことでしたが、司馬氏は坂本龍馬の盟友であった木戸孝允(桂小五郎)の目をとおして次のように記しています。

「内務省がいかにおそるべき機能であるかということは、木戸には十分想像できた。内務省は各地方知事を指揮するという点で、その卿たる者は事実上日本の内政をにぎってしまうということになる。知事は地方警察をにぎっている。従って内務卿は知事を通して日本中の人民に捕縄(ほじょう)をかけることもできるのである。さらに内務卿の直轄機構のなかに、川路利良が研究している警視庁が入っている。警視庁は東京の治安に任ずるだけでなく、政治警察の機能ももち、もし内務卿にしてその気になれば、同僚の参議たちをも検束して牢にたたきこむこともできるのである。」(文春文庫、第1巻「小さな国」)。 

(2016年11月1日、リンク先を変更)

正岡子規の時代と現代(3)――「特定秘密保護法」とソ連の「報道の自由度」

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