先に「映画・演劇評」にモスクワで見た演劇の感想を掲載しましたが、モスクワで留学中に見たイワン・プィリエフ監督の映画《白痴》(1958)と映画《カラマーゾフの兄弟》(1968)、そしてレフ・クリジャーノフ監督の映画《罪と罰》(1970)なども、原作を忠実に映画化しようとしていて好感が持てました。
《白痴》のムィシキンを演じたユーリー・ヤコヴレフが亀田役の森雅之の演技から強い影響を受けているとの評判や、この映画が第一部のみで終わってしまったのは、あまりに迫真の演技をしたので主役も精神を病んだからだという噂を聞いたのもモスクワの友人からでした。
映画《罪と罰》を撮ったレフ・クリジャーノフ監督が、1971年に日本で公開された際のパンフレットで、「ドストエフスキーの作品を映画化した過去の映画の中で最良の作品」として黒澤映画《白痴》を挙げていたことも後に知りました。
『罪と罰』も推理小説的な筋立てを持っていますが、日本でもヒットしたテレビ・ドラマ《刑事コロンボ》と同じように、初めから犯人やトリックを明かしつつ、犯人の心理や動機に迫るという構造なので、今回は長編小説『罪と罰』の粗筋の紹介もかねて映画《罪と罰》の映画評を掲載します。
コメントを残す