三宅正樹教授は本書で日本の比較文明学の先駆者の一人である山本新氏の『周辺文明論――欧化と土着』(神川正彦・吉澤五郎編、刀水書房、1985年)や神川正彦氏の論文の考察をとおして、今も日本の政治家などに強い影響力を持っているハンチントンの大著『文明の衝突と世界秩序の再編成』(1996年、邦訳『文明の衝突』)におけるロシア観や日本観の問題に鋭く迫っています。
比較文明学的な広い視野で「文明」や「近代化」の問題を考察した本書は、ロシアとの北方領土問題だけでなく、中国や韓国との間でも領土問題に揺れるようになった現在の日本を冷静に考えるためにも重要な示唆に富んでいるといえるでしょう。
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