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文明論(地球環境・戦争・憲法)

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戦前の価値観と国家神道の再建を目指す「日本会議」に対抗するために、立憲野党と仏教、キリスト教と日本古来の神道も共闘を!

安倍首相と麻生副総理が「日本会議国会議員懇談会」の「特別顧問」を務める「自由民主党」と2015年には小池百合子代表がその副会長を務めていた「希望の党」の安保法制や憲法にたいする見方がほとんど同じであり、選挙後には大連立をするのではないかとの予測が語られ始めている。

憲法学者の樋口陽一氏は「敗戦で憲法を『押しつけられた』と信じている人たちは、明治の先人たちが『立憲政治』目指し、大正の先輩たちが『憲政の常道』を求めて闘った歴史から眼をそらしているのです」と語っているが、小林節氏によれば安倍首相が尊敬する岸元首相たちにとって「日本がもっとも素晴らしかった時期は、国家が一丸となった、終戦までの一〇年ほど」、すなわち「ファシズム」の時代だった→樋口陽一・小林節著『「憲法改正」の真実』(集英社新書)を読む(改訂版)

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一方、「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた「日本会議国会議員懇談会」の特別顧問でもある麻生副総理の発言は内外に強い波紋を呼んだが、総務大臣として「電波停止」発言をした高市早苗氏も、1994年には『ヒトラー選挙戦略現代選挙必勝のバイブル』に推薦文を寄せていた。

このような傾向について、生命倫理の研究者・澤田愛子氏は稲田元防衛相の答弁などの特徴を、「今安倍内閣で生じていること。どんな不正を働いても、重大な証拠があっても、見え透いた嘘で否定し続ければスルーしていくという事」をツイッターで指摘している(7月21日)。

この意味で注目したいのは、ヒトラーがドイツで権力を握り、日本では小林多喜二が拷問で死亡した翌年の1934年に小林秀雄が『罪と罰』論と『白痴』論を発表していたことである。

そして、1960年に雑誌『文藝春秋』に掲載された「ヒットラーと悪魔」で小林は、1940年に書いた書評『我が闘争』の一部を引用しながら『我が闘争』の内容を詳しく紹介して、「大きな嘘」をつくことを奨励していたヒトラーの「感傷性の全くない政治の技術」を讃えていた(太字は引用者)。

「日本会議」などで代表委員を務めることになる小田村寅二郎からの依頼に応えて小林が1961年以降、国民文化研究会で講演を行っていたことを考慮するならば、閣僚のほとんどが「日本会議国会議員懇談会」に属している安倍内閣で、ナチスドイツへ的な手法を賛美する発言が続いているのは小林秀雄の影響によるのではないかと私は考えている。

ドイツを破滅へと追い込んだヒトラーが『我が闘争』に記した政治手法を「核の時代」の現代に応用して権力を握ろうとする人物を党首や代表としているこれらの勢力と対抗するためにも、立憲野党が共闘をするだけでなく、仏教、キリスト教と「神社本庁」以外の神道が団結して選挙戦にあたることを期待する。

以下に、戦前の価値観への復帰を目指す「日本会議」の思想と『我が闘争』を詳しく紹介した「ヒットラーと悪魔」について考えた論考へのリンク先を示す。

麻生副総理の歴史認識と司馬遼太郎氏のヒトラー批判

ヒトラーの思想と安倍政権――稲田朋美氏の戦争観をめぐって

稲田朋美・防衛相と作家・百田尚樹氏の憲法観――「森友学園」問題をとおして(増補版)

稲田朋美・防衛相の教育観と戦争観――『古事記と日本国の世界的使命』を読む(増補改訂版) 

小林秀雄のヒトラー観(1)――書評『我が闘争』と「ヒットラーと悪魔」をめぐって

小林秀雄のヒトラー観(2)――「ヒットラーと悪魔」をめぐって(2)

「ヒットラーと悪魔」をめぐって(3)――PKO日報破棄隠蔽問題と「大きな嘘」をつく才能

「ヒットラーと悪魔」をめぐって(4)――大衆の軽蔑と「プロパガンダ」の効用