「週刊誌を読む」という「東京新聞」の本日付の連載コラムには、「女性誌も巻頭で政権批判」という見出しで、「安保法案」への批判が日ごとに強まっている状況が詳しく分析されています。
現在、公共放送のNHKでは吉田松陰の妹を主人公とした大河ドラマ《花燃ゆ》が放映されていることもあり、私が強い関心を持って読んだのは、安倍首相が「吉田松陰が好んだ孟子の一節「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば千万人といえども吾(われ)往かん」を頻繁に口にしていることを指摘した『フライデー』(8月7日号)の記事でした。
このことを指摘した月刊『創』編集長でもある筆者の篠田博之氏は次のようにこのコラムを締めくくっています。「主権者たる国民の意思を無視することを政治家の信念と勘違いしているとすれば、こればもう倒錯というべきだろう。」
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弁護士の澤藤統一郎氏も「孟子にあっては、天子の天子たる所以は、民意に基づくところにある。天命とは、実は人民の意志にほかならない。政権は民意に背いてはならない」と説いていたとして、安倍氏の解釈の間違いを指摘しています(サイト「澤藤統一郎の憲法日記」7月22日)。
実際、独裁的な権力を行使した幕末の政治家・井伊直弼により安政の大獄で処刑されることになる思想家・吉田松陰の言葉を権力者である首相が信念としているならば、安倍首相は吉田松陰とではなく、国民の意思に逆らってアメリカと日米修好通商条約に調印した大老・井伊直弼と同じような感覚の独裁者に近いと言わねばならないでしょう。
リンク→菅原文太氏の遺志を未来へ
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以下に、これまでに書いた大河ドラマ《花燃ゆ》関連の記事のリンク先も記します。
リンク→大河ドラマ《龍馬伝》の再放送とナショナリズムの危険性