ジャニーズ問題は人権問題だと以前は考えていた。しかし、この問題がBBCで取り上げられてから、様々な情報に接することになり、この問題の解明が遅れていたのは、統一教会や、ことに自民党との繋がりのためだろうと思うようになった。
1958年に日本に進出した韓国の統一教会は1964年には宗教法人の認定を受けており、私が統一教会の原理講論を聞きに行ったのは1967年の頃であった。一方、ジャニー喜多川の性犯罪も1965年にはすでに問題となっていた。ドストエフスキーが『白痴』でトーツキーによる少女に対する性犯罪を描いたように、大江健三郎の長編『洪水はわが魂に及び』(1973)でも主人公の義父で「怪(け)」と呼ばれる政治家が東南アジアで12・3歳の少年を買いあさっていたことも記されていた。
現在は長い記事を書く時間的な余裕がないので、Xでリポストした投稿などをアップしておく。
Ⅰ.ジャニーズ問題の奥深さ
ビジネスジャーナルの記事(「ジャニーズ事務所と統一教会を結びつける“ある芸能夫妻”…知られざる芸能の戦後史」)によれば、宝塚歌劇団の娘役出身で1950年代には松竹や日活の看板スターだった俳優の月丘夢路(1922年10月生まれ)で旧統一教会のいわゆる“フロント企業”のひとつに1971年に設立された「一和(イルファ)」という会社」の「一和高麗人蔘茶」のCMに出演していた。
その月丘は1985年の『胡蝶のお蘭 稲妻の長吉 夢泥棒』(東京宝塚劇場)では田原俊彦と、同年の『近藤真彦特別公演 森の石松』(新歌舞伎座)でも近藤真彦や川崎麻世と共演していた。
一方、月丘夢路の夫、映画監督の井上梅次(1923年5月生まれ)もまた近藤真彦主演でリメイクした『嵐を呼ぶ男』や田原俊彦のコンサートを描いたドキュメンタリー作品『TOSHI in TAKARAZUKA Love Forever』を撮っているばかりでなく、統一教会の関連団体の主張を訴える『絶唱母を呼ぶ歌 鳥よ翼をかして』(1985年)や『暗号名 黒猫を追え!』(1987年)も撮っていた。
ビジネスジャーナルの記事の後編では「統一教会と岸信介、そしてジャニー喜多川とメリー喜多川、その夫の藤島泰輔との“点と線”」が記されている。
安倍元首相も、2018年にTOKIOを首相官邸に招くなどジャニーズ事務所との蜜月を徹底的に政治利用した。
大阪の「吉本興業と維新が同様の関係にある」と指摘した望月衣塑子氏は、民放各局が、報道のMCにジャニーズタレントを使い始めたのもこの時期と指摘している。下記の記述は、ジャニーズ事務所と安倍元首相、そしてテレビ局との関係の深さを具体的に示している。
2004年にはジャニー喜多川の性的虐待が最高裁で確定していたが、法務省が2019年に制作総指揮 ジャニー喜多川 と記された 映画「少年たち」とのタイアップポスターを作成していたことも分かった。
安倍元首相が「ジャニーさんお別れの会」に 「日本中に、たくさんの勇気と感動を与えてくださり、本当にありがとうございました。」との長文の弔電を送っていたことを考慮するならば、岸元首相から続いた自民党とジャニーズ問題との関わりの根は深い。
Ⅱ. ジャニーズ問題の奥深さ2――〈五分兄弟盃〉の映像
1998年には余興で〈五分兄弟盃〉の儀式が行われていたが、そこにはジャニー喜多川の他と電通、自民党、石原プロ、テレ朝などの関係者が参加していた。参加者については別の投稿者のツイートがまとめている。
〈五分兄弟盃〉の儀式の映像の問題などを考察し、ヤクザの親分・子分のような関係が、文鮮明夫妻を「真の父母」とみなす統一教会(世界平和統一家庭連合)の家族観にも反映している可能性を指摘した。
「暴力団ミニ講座」によれば、 〈五分兄弟盃〉とは「擬制の血縁関係で結ばれている」暴力団の身分関係を成立させる「盃事」と呼ばれる儀式である。
すなわち、「親分子分の血縁関係を特定するための儀式」である〈親子盃〉はよく知られている。暴力団組織においては、「子分相互の間においても厳重な上下関係があり」、その中身は「五分の兄弟」「五厘下りの兄弟」「四分六の兄弟」「七三の兄弟」「二分八の兄弟」に分かれており、「その差が開くほど服従関係が」強まる。そして「五分の兄弟」とは「上下関係なしの対等な関係にある兄弟分」のことをいう。
つまり、ジャニー喜多川の他と電通、自民党、石原プロ、テレ朝などの関係者 はヤクザの〈五分兄弟盃〉の儀式のまねごとを行っていたことになる。
ここで問題としたいのは、このような「擬制の家族関係」が、明治末期に成立した「天皇=国民の父、国民=天皇の赤子という家族国家観」を模倣しているおり、それは文鮮明夫妻を「真の父母」とみなす統一教会(世界平和統一家庭連合)の家族観にも反映しているように思われることである。
Ⅲ. 最後に自民党と統一教会の関係の深さを指摘した鈴木エイト氏の意見を紹介したツイートを掲げておく。
2023/09/15、2023/10/12、2023/11/09 加筆・改訂