衆院本会議で「安全保障関連法案」を与党が単独で「強行採決」した後で、菅義偉官房長官が記者会見で参院での速やかな審議入りを拒む野党に対し「参院は良識の府と言われる。審議に協力いただけると思う」とけん制したとのニュースが伝えられました(太字は引用者)。
しかし、安倍首相は強行採決前の質疑で、「安全保障関連法案」について「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めていました。
法案の強行採決を行った衆院平和安全法制特別委員会の浜田靖一委員長も、法案可決後には国会内で記者団に「もっと丁寧にすべきだとの批判もあった。分かりやすくするためにも法律を10本も束ねたのはいかがなものか」と語っていました。
すなわち、「安全保障関連法案」は一本の法案ではなく、「国際平和支援法」と10本の戦争関連法をまとめたものであることを考慮するならばこの法案の審議には、これまでの法案の10倍の時間をかけなければならないことは明白でしょう。
菅義偉官房長官に「良識」があるならば、本来費やすべき10分の1の短時間で「強行採決」したこの法案を廃案にし、次の議会で徹底的に議論すべきと安倍首相に進言すべきでしょう。
リンク→「大義」を放棄した安倍内閣
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記者会見での今回の発言からは、「汚染水」の問題が深刻な問題となっていたにもかかわらず、その事実が隠されたままで行われた昨年7月の参議院議員選挙のことや、衆議院が解散されて昨年末の総選挙では「秘密法・集団的自衛権」は、「争点にならず」と明言していた菅義偉官房長官の発言が思い起こさせられます。
オリンピック招致の際に安倍首相が国際社会にむけて「汚染水」の問題は「アンダーコントロール」であると宣言していたことが偽りであったことはすでに明らかになっていますが、「安全保障関連法案」の強行採決の後では「公約」の「新国立競技場建設計画」も白紙撤回になりました。
「安全保障関連法案」だけでなく、十分な国民的議論もなく安倍政権が強引な手法で進めてきた「特定秘密保護法」や「集団的自衛権」と「憲法」と教育の問題、さらには「公約」を破って交渉が進められているTPPの問題などは、いずれも「国民の生命や財産」や国際情勢、さらには地球環境にかかわる重要な問題です。
「憲法」や「学問的な知」を侮辱し、「情念」的な言葉で「国民の恐怖」を煽り、戦争の必要性を強調するような安倍政権の手法は、「国民」には重要な情報を知らせずに戦争の拡大に踏み切り、ようやく沖縄戦と二度にわたる原爆投下の後で敗戦を認めた第二次世界大戦時の参謀本部の手法ときわめて似ていると言わざるをえないでしょう。このままでは経済の破綻や大事故が起きた後で、国民がようやく事実を知ることになる危険性が大きいと思われます。
権力を維持するために「公約」を軽視して、「国民の生命」や「地球の環境」を危険にさらしている「安倍政権」の一刻も早い退陣を求めます。
リンク→昨年総選挙での「争点の隠蔽」関連の記事一覧
(2015年7月20日、副題と文章の追加)