標記の国際ドストエフスキー・シンポジウムで、私は「『罪と罰』における〈良心〉の用法」についての考察を発表しました。
出発前には哲学的な内容の発表がどのように受け止められるかを危惧していたのですが、ヘルマン・ヘッセの深いドストエフスキー理解にも現れているように、ロシアやヨーロッパではドストエフスキー作品の哲学的な考察も進んでおり、私の発表も思いがけず高い評価を受けて下記の論文集に掲載されました。
Такахаси С. Проблема совести в романе “Преступление и наказание”//Достоевский: Материалы и исследования.Л., Наука,1990. Т.10.С.56-62.
今回、思いがけず国際ドストエフスキー学会(IDS)の情報連絡として日本側の代表コージネーターに選出されたとのご連絡を頂いた際にはしばらく躊躇しましたが、学会の様々な方々から学恩を受けてきましたのでお引き受けすることにしました。
国際学会では激論が交わされることもありますが日本のドストエフスキー研究の水準は高いので、グラナダでのシンポジウムには若手の研究者の方々にもぜひ参加して頂きたいと願っています(IDSの新しい情報については、「ドストエーフスキイの会」の「ニュースレター」やホームページの「事務局便り」をご参照ください)。
今回のモスクワでのシンポジウムではザハーロフ氏が新会長に選出されたとのことでした。近いうちにザハーロフ氏の発表にもふれている、激動の1992年に開催されたシンポジウムの報告を掲載する予定です。