高橋誠一郎 公式ホームページ

未分類

「新国立」の責任者は誰か――「無責任体質」の復活

「新国立」の建設計画が白紙撤回されたことを受けて、文部科学省のスポーツ・青少年局長の辞職が28日に決まり、下村博文文科相は28日の会見で「定例の人事」と発表して更迭との見方を否定したとのとの記事が各紙に一斉に載りました。

それらの記事によれば、菅義偉官房長官は文科相が「総合的に検討し、判断された」と説明したとのことですが、野党から「トカゲのしっぽ切りだ」と責任回避の姿勢を批判する声が出たばかりでなく、与党内からも文科相の責任に言及する声が出始めているようです(太字は引用者)。

*   *

先のブログ記事では森元首相が22日の記者会見で「(責任の所在が)どこにあるのかというのは難しく、犯人を出してもプラスはない」と語ったことを受けた元法大教授五十嵐仁氏(政治学)の次のような批判を紹介していました。

政治思想史の丸山真男氏は、日本が無謀な戦争に突き進んだ理由として『無責任の体系』を挙げました。…中略…戦後70年の今も、同じく、無責任の体系が脈々と息づいているとしか思えません」。

*   *

一方、「新国立競技場」建設計画の白紙撤回の問題は国内のみならず、海外でも大きく取り上げられているようです。

「東京新聞」朝刊は、〈「無責任体質 大きく報道〉との大きな見出しで、英紙・「テレグラフ」は、「政権支持率下落する中でガス抜き」と指摘し、米紙・「ウォールストリートジャーナル」も「下村文科相の驚くべき変わり身」を指摘したことなど、「白紙撤回」の問題を世界の新聞が大きく取り上げていることを紹介していました。

このことを想起するならば、「新国立」白紙撤回の「責任」は、下村大臣や森元首相だけに留まるものでなく、彼らを重用した安倍首相にも及ぶと思われます。

しかも、安倍首相は実質的には原発事故による放射能「汚染水」問題が収束していないにもかかわらず、「アンダーコントロール」と世界に宣言していたのです。

勇ましい言葉で「国民」を煽る一方で、自分の発言に対しては責任を取ろうとしない下村文科相や菅官房長官、さらに安倍首相の「戦前と同じような思想」と「無責任体質」こそが問われるべき時期にきていると思えます。

リンク→「戦前の無責任体系」の復活と小林秀雄氏の『罪と罰』の解釈

リンク→安倍政権の経済感覚――三代目の「ボンボン」に金庫を任せて大丈夫か

 

「戦争法案」に反対する学生のアピールを転載――自分の声で語ること

最近、知人のS氏から下記の文面とともにアピール映像と音声が届きました。

「15日に大阪・梅田駅前で開かれた「戦争法制反対」するSEALDs関西の集会での女子学生のアピールを見つけました。

フェイスブックにアップされてまだ5日目ですが、再生はすでに10万回を超えて、ものすごい勢いで広まっているようです。 この間の多くの集会。デモで聴いた、どの政治家や学者・文化人の反対アピールより心を打ちます。一度ぜひ見てみてください。

*引用者注――リンク先が有効期限切れとなったようですので、リンク先を削除し「文字起こし」されている文章を転載しました

東京のSEALDsの学生たちのスピーチについても言えることですが、彼らは状況を的確に分析・把握して、しっかりものごとの本質を理解し、紋切型の言葉ではない自分の言葉で、聴衆に向かって物怖じすることなくアピールできるのですね。」
*   *   *

この映像を見て私が思い出したのは、かつてペレストロイカの時期にソ連で見たフォーキンの《語れ》という劇のことでした。これは党の在り方を批判した劇でしたが、終わり近くで上からの指導を批判して下からの意見がなければだめだと主人公に語らせ、相変わらず十年一日のごとくに決まりきった報告書を読みあげる女性からノートを取り上げて「(自分の声で)語れ」という台詞(せりふ)が最期に響いた時には、観客の熱い共感が湧き起こりました。

それゆえ、この劇を見終わった時にはソ連は変わるだろうという確信を持ったのですが、「自分の言葉」で語られた「戦争法案」に反対する彼女の短いスピーチからは、その劇と同じような迫力と説得力を感じました。

ソ連の「ペレストロイカ」の流れはチェルノブイリ原発事故の後で急速に加速し、ついには「一党独裁」という統治形態をも打ち倒したのですが、福島第一原子力発電所事故を経験していた若者たちは、安倍首相やその「お仲間」たちの言動から同じような問題を鋭く認識したのだと思われます。

衆議院での採決に際しては自民党と公明党の議員たちは「独裁者」に逆らえない「羊」のように黙々と賛成票を投じましたが、無名の学生の方が「本当の勇気」を示していたのです。

車がひっきりなしに通過する場所でのスピーチですので、ことに前半には聞き取りにくい箇所もありますが、すでに文字起こしがされていることが分かりましたので、以下にその文章を掲載します。

*   *   *

こんばんは。今日、私、本当に腹が立ってここに来ました。 国民の過半数が反対してるなかでこれを無理矢理通したという事実はまぎれもなく独裁です。

だけど私今この景色に本当に希望を感じています。大阪駅がこんな人で埋め尽くされてるのを見るの私初めてです。 この国が独裁を許すのか、民主主義を守りぬくのかは、今私たちの声にかかっています。

先日安倍首相はインターネット番組のなかでこういう例を挙げていました。 「ケンカが強くていつも自分を守ってくれている友達の麻生君がいきなり不良に殴り掛かられた時には一緒に反撃するのはあたりまえですよね」って。

ぞっとしました。 この例えをもちいるのであれば、この話の続きはこうなるでしょう。友達が殴りかかられたからと一緒に不良に反撃をすれば不良はもっと多くの仲間をつれて攻撃してくるでしょう。そして暴力の連鎖が生まれ不必要に周りを巻き込み関係のない人まで命を落とすことになります。

この例えをもちいるのであれば、正解はこうではないでしょうか。なぜ彼らが不良にならなければならなかったのか。そしてなぜ友達の麻生君に殴りかかるようなまねをしたのか。 その背景を知りたいと公表し暴力の連鎖を防ぐために不良がうまれる社会の構造を変えること、それがこの国が果たすべき役割です。

この法案を支持する人たち、あなたたちの言う通りテロの脅威が高まっているのは本当です。 テロリストたちは子どもが教育を受ける権利も、女性が気高く生きる自由も、そして命さえも奪い続けています。

しかし彼らは生まれつきテロリストだったわけではありません。なぜ彼らがテロリストになってしまったのか。その原因と責任は国際社会にもあります。 9・11で3000人の命が奪われたからといってアメリカはその後正義の名のもとに130万人もの人の命を奪いました。残酷なのはテロリストだけではありません。

わけの分からない例えで国民を騙し、本質をごまかそうとしても 私たちは騙されないし、自分の頭でちゃんと考えて行動します。 「日本も守ってもらってばっかりではいけないんだ」と「戦う勇気を持たなければならないんだ」と安倍さんは言っていました。

だけど私は海外で人を殺すことを肯定する勇気なんてありません。 かけがえのない自衛隊員の命を国防にすらならないことのために消費できるほど私は心臓が強くありません。 私は戦争で奪った命をもとに戻すことができない。 空爆で破壊された街を建て直す力もない。 日本の企業がつくった武器で子どもたちが傷ついてもその子たちの未来に私は責任を追えない。 大切な家族を奪われた悲しみを私はこれっぽっちも癒せない。

自分が責任のとれないことをあの首相のように「私が責任をもって」とか「絶対に」とか「必ずや」とか威勢のいい言葉でごまかすことなんて出来ません。

安倍首相、二度と戦争をしないと誓ったこの国の憲法はあなたの独裁を認めはしない。 国民主権も基本的人権の尊重も平和主義も守れないようであれば、あなたはもはやこの国の総理大臣ではありません。

民主主義がここにこうやって生きている限り私たちはあなたを権力の座からきひずり下ろす権利があります。力があります。 あなたはこの夏でやめることになるし私たちは来年また戦後71年目を無事に迎えることになるでしょう。

安倍首相、今日あなたは偉大なことを成し遂げたという誇らしい気持ちでいっぱいかもしれません。けれどそんなつかの間の喜びはこの夜国民の声によって吹き飛ばされることになります。 きのうテレビのニュースで東京の日比谷音楽堂が戦争法案に反対する人でいっぱいになったのを見ました。

足腰が弱くなったおじいさんやおばあさんが暑い中わざわざ外に出て震える声でこぶしを突き上げて戦争反対を叫んでいる姿を見ました。この70年間日本が戦争をせずにすんだのはこういう大人たちがいたからです。ずっとこうやって闘ってきてくれた人たちがいたからです。 そして戦争の悲惨さを知っているあの人たちがずっとそうあり続けてきたのはまぎれもなく私の、私たちのためでした。

ここで終わらせるわけにはいかないんです。私たちは戦後を続けていくんです。武力では平和を保つ事ができなかったという歴史の反省の上にたち憲法9条という新しくてもっとも賢明な安全保障のあり方を続けていくんです。 私はこの国が武力を持たずに平和を保つ新しい国家としてのモデルを国際社会に示し続けることを信じます。

いつわりの政治は長くは続きません。 そろそろここで終わりにしましょう。 新しい時代を始めましょう。

2015年7月15日、私は戦争法案の閣議決定に反対します。

ありがとうございました。

*2015年9月15日。表題と内容を一部変更)

【あかりちゃん】のリンク先を掲示

いよいよ審議は参議院に移りました。

YouTubeの【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみたは、「文明史」的な理解を欠いた形でこの法案を解説した自民党・広報の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく論破しています。

これまでも二回ほど【あかりちゃん】については紹介しましたが、先ほど確認したところ視聴回数が635、000回を超えていました。より多くの方に知って頂くためにこのブログでも独立させて、題名を示すことにしました。

自民党版の「教えて!ヒゲの隊長」と比較すると「安全保障関連法案」と名付けられたこの法案の危険性が明瞭になるでしょう。

『安全保障関連法案に反対する学者の会』が廃案を求めて150名で記者会見

幅広い専門分野の研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が20日に東京都千代田区の学士会館で記者会見し、安倍政権により「違憲性がある法案が衆院で強行採決されたことは、立憲主義と民主主義の破壊であり、国民世論を無視した独裁政治であることを示した。学問と理性、知的な思考そのものを無視している」と指摘し、廃案を求める抗議声明を発表しました。

この会見については、各新聞が大きく取り上げた他、NHKも報道していますので、その一部のリンク先を記しておきます。

 

関連記事のリンク先

朝日新聞→ 安保法案に抗議声明 益川氏ら学者150人が会見

毎日新聞→<安保法案>採決強行に学者150人抗議

東京新聞→益川氏ら学者150人 安保法案「廃案」を:社会 (TOKYO …

産経新聞→益川名誉教授ら「首相判断で戦争可能」 学者150人、安保法案廃案求め声明

NHK→安保法案に反対 学者など150人が訴え http://nhk.jp/N4KK4GJE

*  *   *

 『安全保障関連法案に反対する学者の会』のアピールへの賛同者(学者・研究者)は、7月21日9時00分現在で11,604人に、市民の賛同者が24.053人に達しました。

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

一方、この問題の深刻さをいまだに理解しない安倍晋三首相は、20日のフジテレビ番組では衆院で「強行採決」した安全保障関連法案について「戦争法案と言われるが、戦争を未然に防ぐための法案だ」との弁解をしたとのことです。

このような発言や今後の動きも気になりますが、安倍首相の「憲法」理解や歴史認識の問題点を明らかにするためにも、これからしばらくは拙著『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館)の発行に向けて集中することにします。

 

「安全保障関連法案に反対する学者の会」関連記事

『安全保障関連法案に反対する学者の会』の賛同者(学者・研究者)が10,857人に7月17日

「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピールを「新着情報」に掲載7月3日

映画人も「安全保障関連法案」反対のアピール

すでにご存じの方も多いと思いますが、「朝日新聞」によれば15日に強行採決への抗議声明を出していた団体に続いて、映画関係者らで作る「映画人九条の会」も16日に、安全保障関連法案に反対するアピールに賛同する映画人が446人に達したとの発表を行いました。

このアピールの呼び掛け人の一人である高畑勲監督は、「自公の議員も(審議の進め方などに)全面的に賛成していないのに、どんどん進んでしまっている。日本人にはズルズル体質がある。重大な物事を決める時に大勢に順応し、破局に至っても誰も責任を取らない。ズルズル体質を自覚し、一線を越えてはならない」と語ったとのことです。

この指摘は「新国立競技場の建設計画」にも当てはまるでしょう。このことについては前回のブログでふれましたが、高畑監督の指摘は無責任な「安倍政権」に原発の再稼働などを委ねることの危険性も物語っているでしょう。

 

高畑監督ら呼びかけ安保法案反対 大物監督・俳優ら賛同:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASH7J5RGXH7JULZU00R.html …

「大義」を放棄した安倍内閣(2)――「公約」の軽視

sho_f-1

衆院本会議で「安全保障関連法案」を与党が単独で「強行採決」した後で、菅義偉官房長官が記者会見で参院での速やかな審議入りを拒む野党に対し「参院は良識の府と言われる。審議に協力いただけると思う」とけん制したとのニュースが伝えられました(太字は引用者)。

しかし、安倍首相は強行採決前の質疑で、「安全保障関連法案」について「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めていました。

法案の強行採決を行った衆院平和安全法制特別委員会の浜田靖一委員長も、法案可決後には国会内で記者団に「もっと丁寧にすべきだとの批判もあった。分かりやすくするためにも法律を10本も束ねたのはいかがなものか」と語っていました。

すなわち、「安全保障関連法案」は一本の法案ではなく、「国際平和支援法」と10本の戦争関連法をまとめたものであることを考慮するならばこの法案の審議には、これまでの法案の10倍の時間をかけなければならないことは明白でしょう。

菅義偉官房長官に「良識」があるならば、本来費やすべき10分の1の短時間で「強行採決」したこの法案を廃案にし、次の議会で徹底的に議論すべきと安倍首相に進言すべきでしょう。

リンク→「大義」を放棄した安倍内閣

*  *   *

記者会見での今回の発言からは、「汚染水」の問題が深刻な問題となっていたにもかかわらず、その事実が隠されたままで行われた昨年7月の参議院議員選挙のことや、衆議院が解散されて昨年末の総選挙では「秘密法・集団的自衛権」は、「争点にならず」と明言していた菅義偉官房長官の発言が思い起こさせられます。

オリンピック招致の際に安倍首相が国際社会にむけて「汚染水」の問題は「アンダーコントロール」であると宣言していたことが偽りであったことはすでに明らかになっていますが、「安全保障関連法案」の強行採決の後では「公約」の「新国立競技場建設計画」も白紙撤回になりました。

「安全保障関連法案」だけでなく、十分な国民的議論もなく安倍政権が強引な手法で進めてきた「特定秘密保護法」や「集団的自衛権」と「憲法」と教育の問題、さらには「公約」を破って交渉が進められているTPPの問題などは、いずれも「国民の生命や財産」や国際情勢、さらには地球環境にかかわる重要な問題です。

「憲法」や「学問的な知」を侮辱し、「情念」的な言葉で「国民の恐怖」を煽り、戦争の必要性を強調するような安倍政権の手法は、「国民」には重要な情報を知らせずに戦争の拡大に踏み切り、ようやく沖縄戦と二度にわたる原爆投下の後で敗戦を認めた第二次世界大戦時の参謀本部の手法ときわめて似ていると言わざるをえないでしょう。このままでは経済の破綻や大事故が起きた後で、国民がようやく事実を知ることになる危険性が大きいと思われます。

権力を維持するために「公約」を軽視して、「国民の生命」や「地球の環境」を危険にさらしている「安倍政権」の一刻も早い退陣を求めます。

リンク→昨年総選挙での「争点の隠蔽」関連の記事一覧

(2015年7月20日、副題と文章の追加)

 

「新国立競技場の建設計画」の見直しと「安全保障関連法案」の廃案

特別委員会で採決された15日、「東京新聞」のデジタル版によれば、国会前には参加団体の発表で入れ替わりも含め10万人が集り、「強行採決徹底糾弾」の大合唱が響き、「国民なめんな」や「安倍政権を辞めさせよう」との呼び掛けに大歓声が起きたとのことです。

注目したいのは、ほぼ同じ頃(2015年7月16日 00時18分)に、政府が世論の強い批判を受けて、「2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画を見直す方針を固めた」ことも報じられていたことです。

「争点」を隠蔽して経済の問題を前面に出すことで総選挙に勝って多数の議席を得、そのあとで初めて本丸である「安全保障関連法案」を持ち出して強行採決した安倍首相の手法は、「新国立競技場の建設計画」以上に、いかがわしいものです。

「国民の生命」がかかわるこの問題をきちんと議論するためにも「世論の批判」を強めて、「安全保障関連法案」の廃案も勝ち取りましょう。

安倍政権の経済感覚――三代目の「ボンボン」に金庫を任せて大丈夫か

残念ながら、先ほど安倍政権が「安全保障関連法案」を、多くの「国民」が反対や慎重審議の声を上げ、与党議員からもまだ説明が足りないとの声が出ており、さらに安倍首相自身が「理解進んでいない」と認めたにもかかわらず、衆院特別委で与党が単独で「強行採決」したとのニュースが届きました。

ただ、まだ「国民の声」を封殺してでも己の「野望」を遂げようとする安倍首相の独裁的な手法に対して与党の議員が「No」の声を上げて、この法案が衆議院で否決される可能性も数字としては残されていますので、この問題については後日に論じることにします。

  •   *   *

今日の「東京新聞」朝刊は、米政府が「新型輸送機オスプレイ17機を日本に売却する計画のうち、第1陣として5機を3億3250万ドル(約410億円)で売却することを決めた」ことを報じたロイター通信の記事を伝えています。

「米政府がオスプレイを外国に供与した例はなく、日本が初めての輸出先となる」とのことですが、17機を購入すると総額は1394億円にもなるのです

7月14日のブログ記事では、新しい国立競技場を当初よりおよそ900億円多い2520億円をかけて建設しようとする計画に納得できるかとのNHKの世論調査では、「納得できる」と答えた人はわずか13%で、「納得できない」と答えた人は81%にのぼることが発表されたことに言及しました。

国立競技場の問題については、計画のずさんさだけでなく、その裏にある「利権構造」にも鋭く切り込む記事も出始めていますが、1394億もの国民の税金で危険とされている「オスプレイ」の購入を簡単に決めるような安倍政権の金銭感覚にも驚かされます。

2014年5月に財務省は、国債や借入金を合わせた「国の借金」が2013年度末で過去最大の1024兆9568億円となったと発表していました。

素人の目から見ると、「争点」を隠した選挙に勝利したことで「国民の金庫」を手に入れた安倍政権は、威勢の良い「スローガン」で取り繕いながら、金庫に手を突っ込んで浪費している金銭感覚のない三代目の「ボンボン」のようにさえ見えるのです。

 単純に一機あたりの単価を17倍するとそうなるのですが、なぜか米国防総省の国防安全保障協力局によると、関連装備も含めると総計で約3600億円にもふくれあがるとのことです。

自民党と公明党は「国民の声」に耳を傾けよ

自民党の谷垣禎一幹事長は党役員会で「安全保障関連法案」について、「きょう中央公聴会をやり、審議時間も積み重なってきた」と語り、15日に採決を行う方針を示したとのことです。

しかし、「安全保障関連法案」は一本の法案ではなく、「国際平和支援法」と10本の戦争関連法をまとめたものであり、そのことを考慮するならばこの法案の審議には、これまでの法案の10倍の時間をかけなければならないことは明白でしょう。

ここのところ安倍政権の広報と化している観のあるNHKも、最近の世論調査では、「安全保障関連法案」を「大いに評価する人」が8%なのに対して、「まったく評価しない人」がその4倍近い30%であったと発表しました。「ある程度評価する人」が24%なのに対して、「あまり評価しない人」もその数を大幅に上回る31%とのことです。

 新しい国立競技場を、当初よりおよそ900億円多い2520億円をかけて建設する計画に納得できるかとの世論調査でも、「納得できる」と答えた人はわずか13%で、「納得できない」と答えた人は81%にのぼることも発表されました。

「国民の声」を無視して国立競技場の建設を強行し、「安全保障関連法案」の強行採決に踏み切ろうとする安倍内閣を、「自由と民主」を党是とする自民党と「平和」を強調する公明党の良識ある議員は、即刻、退陣させるべきでしょう。

*   *

この危険な法案に反対する『安全保障関連法案に反対する学者の会』のアピールへの賛同者(学者・研究者)の人数は、7月14日9時00分現在で9766人に達しました。

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

*   *

YouTubeの【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみたは、この法案を「情念」的な言葉で「分かりやすく解説」した自民党の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく批判しています。

昨年総選挙での「争点の隠蔽」関連の記事一覧

先ほど、新国立競技場契約の「見切り発車」の問題と安倍政権が示唆している法案の強行採決の類似性を指摘した〈「安全保障関連法案」の危険性(3)――「見切り発車」という手法〉という題名の記事をアップしました。

急いでいたために書き忘れましたが、こうした三代目の「ボンボン」のような「放漫経営」的な手法を行っても、福島第一原子力発電所事故の場合でよく分かるように、「政治家」自身は責任を負うことはありません。その巨額のツケを後で払わされることになるのは、私たちやその子孫などの「国民」なのです。

総選挙のまえに菅官房長官は「秘密法・集団的自衛権」は、「争点にならず」と発言していましたが、案じていたように、政権の幹部はこの法案については先の総選挙でも充分に議論され、「信認を得て、多くの議席を得たという確信を持って、間違いなく我々はやってきた」という説明を始めています(太字、引用者)。

それゆえ、ここでは経済の問題を前面に出すことで「安全保障関連法案」の問題を隠していた昨年末の総選挙の危険性を指摘した記事を執筆順に掲載します。

 

関連記事一覧

総選挙と「争点」の隠蔽11月21日

安倍政権と「報道」の問題11月22日

アベノミクス(経済至上主義)の問題点(1)――株価と年金11月25日

「寝ていろ」的な手法と「違憲状態」判決11月28日

政府与党の「報道への圧力」とNHK問題11月28日

百田尚樹氏の『殉愛』と安倍首相の「愛国」の手法11月30日

「アベノミクス」と原発事故の「隠蔽」12月1日

アベノミクス(経済至上主義)の問題点(2)――原発の推進と兵器の輸出入 12月3日

「欲しがりません勝つまでは」と「景気回復、この道しかない。」12月5日

「アベノミクス」とルージンの経済理論 12月7日

〈白票と 棄権は危険な 白旗だ〉12月9日

〈若者よ スマホを置いて 選挙に行こう〉12月9日

「特定秘密保護法」と「オレオレ詐欺 12月10日

「集団的自衛権」と「カミカゼ」12月10日

「集団的自衛権」と『永遠の0(ゼロ)』12月10日

〈若者よ 白蟻とならぬ 意思示せ〉12月10日

〈子や孫を 白蟻とさせるな わが世代〉12月11日

安倍政権による「言論弾圧」の予兆12月13日

総選挙を終えて――若者よ、『竜馬がゆく』を読もう12月17日